海外釣行で実際に起きたトラブルまとめ
海外での釣りは国内では味わえないスケール感や魚との出会いがある一方で、日本では想像もできないようなトラブルに遭遇することも少なくない。慣れない環境、言葉の壁、危険生物、衛生環境、現地の文化の違い。これらが重なることで、海外釣行は時に“命懸けの冒険”になる。
今回は実際に私がこれまでに経験した海外釣行でのトラブルや、友人・知人を通して聞いた海外の釣り人たちが経験した事例、世界中の釣行記・ニュース・報告などを参考にしながら海外釣行で起こり得るトラブルをまとめて紹介してみようと思う。
- 海外で釣りをしてみたい
- 海外遠征を計画している
- いつかGTやマグロを狙ってみたい
そんな人は心の準備や持ち物の参考にしてみてください。
ボートが故障して沖で漂流
海外釣行で最も怖いトラブルのひとつが船のエンジントラブル。日本の遊漁船は比較的整備が行き届いていることが多いが、海外では必ずしもそうとは限らない。

特に東南アジアや離島エリアではかなり年季の入ったボートがそのまま現役で使われているケースもあり、沖合で突然エンジンが停止し数時間から半日以上漂流したという話も珍しくない。しかも沖の流れは想像以上に速く、GPSや通信機器がなければ現在地すら分からなくなる可能性もある。
昼間ならまだ良いが、問題は夜。波の音しか聞こえない真っ暗な海で救助を待つ時間は想像以上に精神を削られる。さらに海外では、
- ライフジャケット未着用
- 無線機なし
- 予備燃料なし
- 船長がGPSを使えない
というケースも多い。日本で遊漁船に乗る感覚とは大きな違いがある。出船前に、
- ライフジャケットの有無
- 衛星通信や無線設備
- 救命装備
- 予備燃料の有無
を確認するだけでも生存率は大きく変わると思う。
巨大魚とのファイトで引きずり込まれる
海外ではGT、マグロ、カジキ、ターポン、ピラルク、ピーコックバス、パプアンバスなどなど日本では考えられないサイズ、引きの強さの魚が釣れる。それが魅力的な反面、事故の危険性も跳ね上がる。特に危険なのがドラグを締めすぎた状態でのファイトだ。

海外の怪魚系動画や遠征記では、ヒットした瞬間に体勢を崩しそのまま海へ引き込まれたケースが複数紹介されている。実際に私と同じアマゾンツアーに参加した方もピーコックバスが掛かった瞬間にアマゾン川に落ちてしまったことがある。
大型魚はヒット直後に数十キロ単位の力で走るし、船の上は常に揺れているため不安定だし陸地のような踏ん張りが効かない。PEラインが指や腕に巻き付いた状態で魚が走れば最悪の場合は大怪我につながる可能性もあるし、実際に海外ではラインによる指の切断事故や深い裂傷も報告されているので他人事ではない。大型魚を狙う場合は、
- ファイティングベルトを着用する
- フィッシンググローブを着用する
- 無理に止めようとしない
- 手や体にラインを巻かない
- ドラグを事前に調整する
という基本が本当に重要だと思う。憧れの魚が掛かった瞬間は冷静ではいられなくなってしまうものだし、海外遠征では旅全体を通してテンションが上がってしまうのはしかたがないことだが、「魚釣りより自分の安全を最優先に」という意識は忘れてはいけないと思う。
サメに囲まれる
海水魚をターゲットとした海外釣行で意外と多いのがサメ関連のトラブル。特に南国エリアではファイト中の魚を横取りするために船の周りをサメに囲まれることがある。一度サメが寄ると海中はサメ地獄と化す。魚を掛けた直後にサメに食われ、魚の半身だけ上がってきた(シャークアタック)という話は珍しくない。

さらに怖いのは水中回収。根に潜られた魚を回収するためにダイビングした結果、周囲にサメが集まっていたというケースもあるらしい。海外の磯釣りでは血や魚の匂いでサメが寄ってくることもあり、特に夕方以降は危険性が高まる。
また、サメは必ずしも大型種だけが危険というわけではない。小型でも攻撃性の高い種類は存在するし、餌(魚)を持った状態で不用意に海へ入るのはかなり危険だ。サメの多い地域では、
- 魚を長時間海面に放置しない
- 海中で血抜きをしない
- 単独で泳がない
- 夕方以降の入水を避ける
といった注意が必要だ。
釣った魚を食べて食中毒
海外釣行では釣った魚をその場で食べるという体験をしたいという人も多いと思うが、実はこれが非常に危険だったりする。現地では当たり前のように食べられている魚であっても、実は個体によってシガテラという毒を持っている可能性があるのだ。

この毒は加熱しても消えない。つまり、生(刺身)だからどうこうという話ではなく、焼いても揚げても何をしても食べてはいけないということだ。
海外では大型のバラクーダやバラフエダイ、ハタ類を食べたグループが集団食中毒を起こした事例も報告されている。シガテラ毒の症状は、
- 吐き気
- 下痢
- 筋肉痛
- しびれ
- 温度感覚異常
など。特に有名なのが「冷たいものを触ると熱く感じる」という異常感覚で、重症化すると数週間〜数ヵ月にわたって症状が続くこともある。私の知人は沖縄でバラフエダイ(通称アカナー)を食べてシガテラ毒にあたり、半年間も症状が続いた。
現地では危険魚に関する知識が曖昧だったり、「大丈夫でしょ」という根拠のない自信からシガテラ毒を持つ可能性がある個体であっても平気で食べてしまうケースがある。海外で魚を食べる際は、
- 大型の肉食魚を避ける
- 現地ガイドに確認する
- 少しでも不安なら食べない
という判断をするのが無難だろう。
空港でタックルが行方不明(ロストバゲージ)
海外アングラーあるあるなのが、空港で預けたスーツケースやロッドケースが現地に届かないロストバゲージ。特に国際線の乗り継ぎでは荷物が別便へ行ってしまったり、載せるスペースがないため職員がわざと飛行機に載せないケースがある。現地に到着し「さぁ釣りだ!」というのに、バゲージクレームで何周待っても自分の荷物だけ出てこない。

私は過去に2回経験している。一度目はドイツ・フランクフルト空港。二度目はアメリカ・アトランタ空港だった。どちらもブラジル帰りの乗り継ぎ空港だったため釣りには何の影響もなかったが、遠征初日に荷物が届かないパターンは最悪だ。
これは海外遠征では本当に珍しくない。特に大型のロッドケース(バズーカ)は特殊サイズのため、一般荷物より紛失率が高い。さらに海外では空港職員が荷物を雑に扱うケースもあり、ロッドの破損も頻発する。
- できるなら釣り具は2つのスーツケースに分散して収納する
- ロッドケースが不要なパックロッドを使用する
- 荷物にAirTagなどを入れる
といった準備がかなり有効になってくると思う。海外遠征では最悪荷物が届かない可能性もあるということを前提に考えた準備をしておくほうが無難だ。
現地ガイドと意思疎通できない
海外釣行では言葉の壁も大きなトラブルの元となる。特に危険なのが安全に関わる意思疎通ができていないこと。

- このエリアは危険だから大きな音を立てるな
- ここは潮流が速いから気を付けろ
- ここはワニやジャガーが出るからトイレは2人以上で行け
- ここはクラゲが多いから泳ぐな
といった重要な情報を理解できないまま行動すると本当に危険だ。海外釣行を綴ったブログでは立ち入り禁止区域に入ってしまったり、危険地帯へ近づいてしまったケースも紹介されている。
また、海外では“なんとなくOK”で進むノリがある。日本人感覚で「大丈夫ですよね?」と確認しても、適当に「OK!OK!」といった感じだ。そのため海外遠征では、
- 翻訳アプリを用意する
- 危険生物を事前に調べる
- 立入禁止区域を確認する
- 完全に理解できない場所へ行かない
という意識が大切になる。
スコールや高波で走行不能になる
南国エリアの釣りでは天候急変も非常に危険なトラブルとなる。さっきまで晴れていたのに突然真っ黒な雲が出現。数分後には暴風雨に…なんてことは珍しい話ではない。

特に島周辺の海は一気に風向きが変わることがあるため、帰り道が大荒れになり小型ボートでは帰港困難になるケースも考えられる。
海外では日本ほど詳細な天気予報が機能していない地域もあり、現地ガイドの経験や勘が頼りになることも多いため判断ミスが命取りになる。また、雷も非常に危険だ。海上でロッドを持っている状態は避雷針を持っているようなもの。特にカーボンロッドは導電性が高いため落雷事故のリスクがある。
天候が怪しいと感じたら「まだ大丈夫」ではなく、即撤収。これが鉄則。
危険生物に刺される・噛まれる
海外の海や川、水辺には日本では見かけない危険生物が生息していて、それらに刺されたり襲われるといった事例は多数発生している。
先日私のブラジルの友人からある動画が送られてきた。そこには3mを優に超える巨大なワニが成人男性の脇を咥えながらゆっくり泳いでいる様子が映っていた。左腕と左足首は嚙みちぎられている。下半身が裸の状態であることから、アマゾン川でトイレをしていた時に襲われたんじゃないかという話だった。モザイク処理させてもらったがキャプチャした画像を貼っておく。

つまり、海外では命を落としてしまうほどの危険生物と遭遇する確率が日本に比べて圧倒的に高いということだ。一般的な代表例としては、
- 淡水エイ
- ワニ
- カンディル
- ピラニア
- 毒ヘビ
- ブヨ
- 毒クラゲ
- サメ
など。特におかっぱりやウェーディングでの釣りでは足元への注意が必要になってくる。また熱帯地域では小さな傷であっても感染症リスクがある。少し切っただけの擦り傷が、数日後に大きく腫れ上がるケースも。日本の感覚で水辺へ近づくのは非常に危険なのだ。
- 裸足で歩かない
- 肌を露出しない
- 不用意に水へ入らない
- 魚を素手で掴まない
- 傷口はすぐに消毒する
という行動が身を守る最低限の対処方法となる。
現地の治安トラブルに巻き込まれる
海外釣行では釣りそのものより治安面が危険なケースもある。

特に注意したいのが人気のない場所や夜間の外出だ。今はもうそんなことはなくなってきてはいるのだが、いまだに「日本人は金を持っている」という目で私たち日本人観光客を見ている外国人は多く、特に高価なタックルを持っている日本人は“金を持っている観光客”に見えてしまう。
- 強盗
- スリ
- 置き引き
- 車上荒らし
などの被害に遭わないよう細心の注意が必要だ。実際に海外ではレンタカーの中に置いていたタックル一式が盗まれたり、街を歩いていたら拳銃を向けられたという話も珍しくない。
また、パスポート紛失も非常に厄介。言葉が通じない国でパスポートを失うと帰国までにかなりの労力が必要になってしまう。
- 高価な道具を見せびらかさない
- 夜間単独行動を避ける
- 現金は複数の財布に分散させる
- 財布やスマホをポケットに入れない
- パスポートのコピーを持つ
- 荷物を車内放置しない
- 財布やスマホをテーブルに置かない
といったことに意識しよう。
帰国後に体調を崩す
海外釣行は帰ってからも油断はできない。長時間移動、疲労、食事の変化、水質の違い。これらが重なることで帰国後に体調を崩す人も少なくないのだ。特に多いのが、
- 胃腸炎
- 発熱
- 寄生虫感染
- 皮膚炎
- 脱水症状
など。海外では氷や水が原因でお腹を壊すこともある。また、生魚文化のある地域では寄生虫リスクも存在し、釣り中は元気だったのに帰国後に高熱が出たというケースもある。海外遠征後は少しでも異常があれば早めに病院へ行くことが大切だ。その際は海外渡航歴を医師へ必ず伝えよう。地域によっては特殊な感染症リスクもあるため、情報共有が診断の助けになる。
まとめ|海外釣行は最高。でも“危険”も隣り合わせ
海外の釣りは本当に楽しいし夢がある。日本では出会えない巨大魚。圧倒的な自然。見たこともない景色。一度経験すると人生観が変わるレベルでハマる人もいる。私もそうだ。

しかしその反面、日本では想像しにくい、思いもよらない危険が多いのも事実。
- 設備不足
- 治安
- 危険生物
- 気候
- 医療
どれも軽視できない。海外釣行で大切なのは魚を釣ることだけではない。笑顔で無事に帰ってくること。それが一番大切だ。これから海外遠征へ行く人はぜひ安全第一で最高の釣りを楽しんでください。
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