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2022-10-18

ジャイアントスネークヘッド「チャドー」を追う旅 in タイランド シーナカリン・ダム 2日目

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目覚めると布団や床の上には1mmにも満たない小さな虫が大量に死んでいた。こんな所で寝ていたのかと思うと鳥肌が立つ。人に危害を加える虫じゃなかったことがせめてもの救いだが…

シーナカリン・ダムを一気に北上するも…

2日目の朝。早々に朝食を済ませ、宿泊代金として250THBを支払った。宿泊する人数に関係なくこのコテージ一棟が1泊500THB(2022年10月現在のレートで約2,000円)。それをネックと2人で割り勘にする。

急遽雇った助っ人のジェーンは「宿やメシは全部用意するから操船してくれないか?もちろん隙あらば釣りしてくれてもいいよ」という契約。エレキが使えない私とネックには操船してもらえるメリットがあるし、タダでボート釣りができるジェーンにもメリットがある。

早速釣りに行こう。今日はネックもヤル気のようだ。

シーナカリン・ダムは広すぎるため稚魚ボールを探すのも一苦労。昨日は1つも見つけられなかったが、今日の作戦は一気にダム湖を北上して昨日とは全く違うポイントで子育て中のママチャドーを探して釣っていくというもの。朝一からフルスロットルで30分以上走った。

ポイントを大きく移動したがここ最近の雨の影響か、どこも水が汚い。カフェオレのような色をしている。

ネックはずっと船首の一番釣りやすい場所を譲ってくれた。エレキを忘れたことに負い目を感じてネックなりに気を遣ってくれているんだと思う。

しかしエレキがない状態で釣りをするのは思った以上に難しかった。いいポイントにボートを付けても3,4投もすれば船首があっち向いたりこっち向いたり。もう一度付けなおすためにエンジンを始動しガガガッ!というギアを入れる音を響かせた瞬間にもう釣れる気が失せてしまう。

ネックもそれを気にかけているようで上陸してオカッパリから狙ってみたりもした。だが何をしてもチャドーの反応は得られない。

釣りよりキノコ

「釣れないからキノコを採りに行こう」

ネックが突然そんなことを言い出した。ここシーナカリン・ダムにはタイでは高額で取引されるキノコがたくさん生えていて、わざわざ遠方からキノコを採って金にするために遠征する人たちもいるらしい。なんでも 500THB/1kg になるんだとか。

「ほら、簡単に見つかるだろ?このキノコが山ほど生えてるから採りに行こう」

いやいやいやいや…俺はキノコ狩りをするためにタイまで来たんじゃない。キノコ狩りなら日本でもできるんだ。いやその前にそもそも俺はキノコに興味がない

恐らくネックは釣れないから別の方法で楽しませようとしてくれてるだけだと思うけど、まだ1匹もチャドーを釣っていない私はとにかく焦っていた。ただでさえ2泊3日という短期釣行。残り時間はわずか。エレキが使えないという致命的なトラブル。そして悪天候。様々な負の要素で焦りに焦っていた私は、この親切に対してどうしても感謝することができないどころか、むしろ腹が立ってしまった。

「なにを呑気なこと言ってるんだ」

結局ネックとジェーンはマジで山に入っていった。その場に取り残された私はボートから大きく離れるわけにもいかない。ボートが流されないように注意を払いながら同じポイントを何度も何度も撃って2人が帰ってくるのを待った。苛立ちが募る。30分後、袋一杯のキノコを持って満面の笑みで山を下りて来た。

「カズさーん!I have rich」

そんな冗談すら笑えないほどメンタルがやられていた…俺が欲しいのはキノコでも金でもない。チャドーなんだ!でも私も大人。ここは日本人お得意の愛想笑いで切り抜けた。

釣りより仏像

やっと動いたと思ったら次は水上コテージに向かっていく。ここで昼飯にするのか?と聞くとそうじゃないらしい。なんと次は仏像を見に行こうと言うのだ。

「ここシーナカリン・ダムにはステンレス製の仏像があるんだ。普通はなかなか来れないぞ。見せてやるよ」

いやいやいやいや…俺は仏像を見るためにタイまで来たんじゃない。仏像なら日本にもあるんだ。いやその前にそもそも俺は仏像に興味がない

でもネックの好意を無下にするわけにもいかないのでしぶしぶシーナカリン・ダムのステンレス寺院に立ち寄った。

私は昔から寺や神社といったものには全く興味が湧かないのでこういった仏像や建造物を見ても特に何も感じないのだが、せっかく立ち寄ったのだから寺の名前だけでも調べておこうと思いGoogleで検索してみた。しかし情報が全く出てこない。

  • タイ シーナカリン ステンレス 仏像
  • シーナカリンダム 寺院
  • Sri Nakarin Dam Buddha statue
  • Sri Nakarin Dam stainless temple

など日本語・英語の様々なキーワードで検索してみたが何一つ情報が出てこなかった。少なくとも観光スポットではないということだけは確かなようだ。なかなか貴重な体験だったのかもしれない。

どれだけ時間を無駄にすれば気が済むんだ

仏像には「チャドーを釣らせて」とお願いしておいた。これでやっと釣りができる…そう思ったのも束の間、次は水上のコンビニでガソリンを買うと言う。まぁガソリンは仕方ない。ついでに私もガソリン(ビール)を購入した。

しかしここからが長い長い。給油が終わりいざ出発!かと思いきや、ネックは誰かと話し出すと止まらない。いつまでも話している。赤の他人と何をそんなに話すことがあるのか。ネックはコミュ力のバケモノである。

ネックが店のボスっぽい人と話し込んでいる中、私は他に話す相手もいないのでひたすらビールを飲んでやり過ごす。キノコ狩りの件からすでに3時間近く竿を握っていないのでさすがに話を遮った。

「NEK. Let’s go」

私の雰囲気で察してくれたのか、すぐにでも出発しようといった反応。だがこれで終わらないのがネックである。「待たせたお詫びにココナッツジュースでもどうぞ」と言わんばかりにココナッツを注文する。いらないと言っても無理やり飲み食いさせるのがネックのやり方(笑)

違うんだ、ネック。俺は早く釣りがしたいだけなんだ…

シーナカリン・ダムにしか生息しない貴重な魚 コブラスネークヘッド

これがタイスタイルだと言うのなら、もうこの際とことん付き合おうじゃないか。3時間ぶりに釣りを再開した。このエリアは水の色もそれほど悪くなさそう。ネックが出してる新作ワーム「STRIKER」で探っていく。

何も起こらない重い空気を変えたのはやはりネックだった。魚とファイトしながらもポケットからスマホを取り出してジェーンに撮影を頼むネックは落ち着いている。さすが登録者50万人超えのTikTokerはレベルが違う。

釣り上げた魚はコブラスネークヘッドという魚。ネック曰くタイでもシーナカリン・ダムにしか生息しておらず、毎日釣りばかりしているネックであっても生涯で2匹目だという非常に珍しい魚だった。

チャドーのような美しさはないがスラっと長細い体と尻尾の付け根にある眼状班(がんじょうもん)が特徴的なコブラスネークヘッド。お見事!

食べると非常に美味しいらしいが珍しい魚なので優しくリリース。おそらく人生で何度もお目に掛かれる魚ではない。貴重な体験をありがとう。

その後ポイントを変えながら北上を続ける。私にも数バイトあったがいずれも小型のチャドー、もしくはプラーチョンで全てバレてしまった。稚魚ボールはどこにもない。2日目も残り1時間。焦る気持ちを落ち着かせながらキャストを繰り返す。

待望のチャドーがヒット

それは終了間際の出来事だった。水草の中にある小さなプールにバズベイトを通すと待望のチャドーがヒット。ヒットと同時に一瞬で水草に突っ込まれてしまったが運よく出てきてくれた。重量感は…ない。

2日目にしてやっとの思いでキャッチできたのは模様がくっきりと出て紫色が美しいチャドーだった。ヒレも一切欠けていない。でも2kgもない超小型。狙っているのはこれじゃない。初めての魚で嬉しかったんだけど、笑顔は作れなかった。

この魚を釣ったタイミングで本日の釣りは終了。宿泊する宿を見つけなければならない。電波が届かず電話することができないため行き当たりばったりでその辺に浮かんでいる水上コテージを探していく。

宿を見つけた頃には太陽も沈み辺りはすっかり暗くなっていた。

過去一最悪の環境で一夜を過ごす

このコテージが最悪だった。厳密に言うとコテージ自体は雰囲気も良いしスタッフは優しく、価格も1泊500THBと非常に安価で寝泊りするには何も困らない。普通なら★★★★☆を付けてもいいぐらいだ。ただ、このコテージが浮いているエリアは虫の量が過去に経験したことのないレベルで多かったのだ。

屋根はあるが壁がない。つまり外で寝るのと変わらないのである。唯一雨だけはしのげるが…

コテージには電気がない。だからポータブルソーラーバッテリーを使って小さなライトを付け、各自スマホのライトやヘッドライトの明かりを頼りに行動することになるわけなんだが、ライトを付けるとそこに虫が大量に集まってくる。でもライトが無いと真っ暗で何もできないからしかたなくライトを付けざるを得ない。

こんな虫だらけの中で調理するんだから、それはもう…仕方ない。覚悟して頂くことにした。

本日のディナーは先ほど釣ったチャドーの素揚げ。黒い点々には目をつむろう。

釣りたてのチャドーはハーブで味を誤魔化さなくても臭みはなく非常に美味しかった。ただ、白ご飯だけはどうしても食べれなかった。近くでクネクネと動く虫に色もサイズ感もそっくりなんだ…

食事が済んだらあとはここに布団を敷いて眠るだけだ。楽しくなってきた。

ジャイアントスネークヘッド「チャドー」を追う旅 in タイランド シーナカリン・ダム 3日目に続く

今回の釣行の様子はYouTubeでも公開しています。

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